ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

幸辛の波間にて


「何事もほどほどに」ということがある


「隣の人と手をつなぎなさい」
このように命令されて
うれしい時もあれば
かなしい時もある


「明日もその人と手をつなぎなさい」
このように、さらに命令が付け加わり
翌日までの一日を
幸せに過ごす日もあれば
憂鬱に過ごす日もある


何か楽しい予定があるということは
それだけでもうれしいのだけれど
その予定を巡り
妄想がさらに予定をきらびやかに脚色したりするものだから
なおさら幸せな気分になる


そして
脚色しすぎた妄想により
実際にその予定が行われても
「何だ、こんなことか」と
がっかりしたりする羽目に陥る


逆に
嫌な予定があると
もっと嫌なことが起こるのではないかと妄想し
どんどん憂鬱になってゆくのだけれど
実際やってみると
「何だ、こんなことか」と
ホッとしたりする


ということで
いいことはやらずに予定のままにして妄想を愉しみ
嫌なことはとっととやってしまえば
幸せな心地でいられるということになる


しかし
それでは
愉しいことをせず
嫌なことばかりをすることになってしまうから
やはりつまらない


そこで
愉しいことについつい手を出してしまう


すると
もっともっと愉しいことを予定しようと
欲望がどんどん膨らみ
妄想も益々きらびやかになってゆく


嫌なことも
好きなことも
ほどほどにお付き合いすればよいのだろうけれど
どんどん
幸せも
憂鬱も膨らんでしまうから異常な精神をきたしやすくなる


現在は
欲しいものが手に入りやすい世の中だ


そのなかで
幸も不幸もバブルのように膨らんでいる


思い通りに行きすぎ
思い通りにいかなすぎるのだろう


「何事もほどほどに」


人の手でできることが増えれば増えるほどに
人の心でほどほどをコントロールしなければ
ますますイビツが膨らむだろう

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