ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

能動的反応:頭の中の遊歩道


図書館に行くと
本の香りに包まれる


所狭しと並べられている一冊一冊の本には
それぞれの世界が広がっていて
その刺激的な世界を感じとるためには
その本を読まなければならない


人類の歩みの中で
残されてきた書物は
その一つ一つが見えない山であり
その書物が描く意味の世界は
大きな山脈だ


そこに山があるから
登山家が山に登るように
そこに本があるから
読書家が本を読む


難解な箇所や
忍耐が必要な退屈な道のりを乗り越えて
本を読み終えると
読書家はいったん冒険をやめ
また次の本を探し始める


こうして
読書家の頭の中の遊歩道に
様々な意味の景色が彩りを添えてゆく


出来合いの書物が
頭の中で混じり合い
ユニークな散歩道が
読書家の頭の中で成長してゆく


この散歩道は
始めは細く短いものなのだろう


それが次第に成長してゆき
太く長く成長してゆく


山に登らなければならないということはなく
本を読まなければならないということもない
それでも
山があり
本があり
山を登る人がいて
本を読む人がいる


頭の中にある遊歩道が
もっと素晴らしいものになりたいと
登山家や
読書家のコギトを刺激し続けているのだろう


そんな頭の中の遊歩道を照らすお日様のような光が
頭の外からさんさんと降り注いでくれると嬉しくなる
逆に
そんな日の光を懐疑の雲で遮断してしまえば
心は曇り、場合によっては雨や雪が降りだす


山登りや
読書ばかりではないが頭も中の散歩ではない


足を動かし
手を伸ばしたりすると
頭の小道があちらこちらへふらふら揺れて
ちょっとづつ違う景色が現れる


車や人が目の前を横切っても
頭の小道が揺れ動く


頭の中の小道は
随分と敏感に反応する


この反応が反応を呼び
寄り道を繰り返しているうちに
いつの間にか時間が過ぎてゆく


慣れ切った刺激にばかり晒されている頭の小道は
あくびをしたくなる


だからだろう
また
本を探したり
山に登ってみたくなるのだろう

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