心臓という部品が
うまく機能しているから
全身に血液が送られている

心臓を形成している細胞たちには
自身を保守する能力の他に
身体全体の中で
部品化する能力が備わっている

細胞としての自己を
自律的に維持しながら
身体全体の中の部分を
細胞や臓器としての自己が演じている

自己が部品化することで
自己の集合体である組織は複雑化し
多機能で高性能なより大きな自己を
形成している

また
部品が集合していることで
この大きな自己は
部品に不都合が生じても
部品を取り換えることにより
全体の維持することが可能となった

このような大きな自己としての個体もまた
部品化され
さらに大きな社会あるいは種といった自己を形成している

異性に魅かれるということは
部品化の具体的な現象だ

雌雄の別があり
種という全体が維持されている

性的魅力だけではない
同情や
嫌悪や
嫉妬も
部品化の顕れだ

部品化されていることで
個体としての自己が満足だけでは
精神が維持できないようにできている

様々なレベルで
自己による
自己のための
自己と云う名の部品が
より大きな全体の中で
自律的に機能している

自己が存在している間
「自己が存在している」という状態を維持するために
自己が部品化しながら機能し続けている