ビートルズの前に
ビートルズという言葉はあったかもしれないが
今
ビートルズという言葉が持っている意味を
持ち合わせてはいなかったはずだ

イエスタデーという楽曲や
イマジンという楽曲が生まれ
大ヒットする以前には無かった意味が
ビートルズに加えらた

言葉は
意味や印象を詰め込む袋だ

言葉以外のところから生まれてくる意味や印象が
言葉の袋の中に入れ込まれ
言葉の意味合いが変わってゆく

その言葉の中に納まりきらなくなれば
言葉が分裂し
複数の言葉と複数の袋が創造され
それぞれの袋に
意味や印象を別々にしまい込んでゆく

こんなことを考えていると
言葉も細胞と同じように
分裂を繰り返しているように思えてくる

細胞分裂には
同質分裂と
異質分裂がある

同質分裂は
同じ細胞が増えてゆく細胞分裂で
異質分裂は
分裂した細胞が
それぞれ違う細胞へと分化してゆく細胞分裂だ

肝臓が大きくなる時の細胞分裂は
同質分裂で
受精後の発生過程で
やがて神経になる細胞と
やがて内臓になる細胞を生み出す細胞分裂は
異質分裂だ

学習は
言葉の袋の同質分裂で
誤用や
新しい差異化などによる
新しい言葉の袋の創造は
言葉の袋の異質分裂だ

学習により
多数の同質の袋を維持するシステムが
言語を機能的なものにしている

何も覚えたり覚えさせたりするのが学習ではない
使用も学習だ

園児や小学生のように
同じ手提げ袋をみんなで持つように
同一の言葉の袋をみんなで持つという
同調圧力の下
言語は機能している

皆と同じ言葉の袋を私も持ちたいという
同調圧力の下で
言語を覚えてゆく

言葉を交わすという
共役的行為に憧れて
同調圧力を共有させながら
人類は言語を発展させてきた

人間は
時に
共役や同調に反発したりするのだけれど
それは例外で
基本的には
共役や同調が大好きな生き物だ

イエローサブマリンに乗って
ルーシーに逢いに行きたくなるのは
ビートルズの同調圧力の賜物だ