脱中心化:物質と精神
死ぬと物質に還るという
しかし
生きている時も立派な物質だ
死ぬとただ物質が
生きている時のようには動かなくなるだけだ
心臓も動かなければ
血液も循環しない
死ぬと
物質に還るのではなくて
物質が動かなくなる
いや
思うように
予定されていたように動かなくなるだけだ
思うように動かないのは嫌だから
死ぬのは怖い
*
思うように動いているのか?
動けることをしたいと思うようにできているのか?
*
出来そうなことをやろうとする
出来そうもないことははなから諦めたりする
*
カとアメンボは
どちらも
小さくて細い体に
長い脚と翅がついている
どことなく似ている虫けらだ
似ているけれど
カは
アメンボのように水の上を泳がないし
アメンボは
カのように人にまとわりついて血を吸おうとはしない
それぞれがやりたいような道具を
それぞれの身体が提供しているし
それぞれの身体に応じて
やるべきことが決まっているようだ
*
物質と意志の関係は希薄で
物質の在り様と意志の関係は濃厚だ
物質の在り様は
物質と物質の関係に基づくもので
特定な関係が結びつけている秩序である
同じように
関係をむずび生じている秩序により
物質と意志も結ぶことができるから
物質と意志の関係は希薄でも
物質の在り様と意志の関係は濃厚になれるのだろう
*
生きているから
生きている物質の動態があり
生きようとする意志がある
思うように動いているから
思うように動きたくなるのだろう
思うようにできることを実践することは
生きるための大事な方便だ
できないことをできるようするよう努力するのも
別の意味で
生きるために必要な方便だ
これらの方便に振り回されているのだろう
できないことばかり見ていると気持ちを沈め
できることを考えて気持ちを晴らす
お天気のように
晴れたり曇ったり雨が降ったりと
心模様も忙しい