ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

再現競争:鋳型の中の虚無な豊潤


ドーナツの中心には何もない


そんな
ドーナツを重ね合わせてできたようなチューブにも
軸の中心には何もない空間が広がっている


この何もない空間に
上水が流れると水道管で
下水が流れると下水管だ
ガスが流れるとガス管だし
血液が流れると血管だ


穴には
何もないようでいて
その中を自由に物質が行き来している


周辺が不自由な空間であるのに対して
ただそこだけが
自由な空間であり
自由に動き回る物質が
そこに誘導されくるから
水道管や
下水管や
ガス管や血管が
水や下水やガスや血液を
特定の場所へと運んでゆくことになる


水や下水やガスや血液は
制約された自由を謳歌しているのだ


私は
餌を喰らい糞を排泄する鋳型なのだろう


私の中に入り込んだ物質の自由を生かしながら
をの物質を制限する鋳型であるのだ


血球を作る鋳型であり
それが流れる結果を作る鋳型なのだ


そして
そんな鋳型である私が
社会の鋳型の中を自由に動きながら制限されている


縄文時代の日本人
平安時代の日本人
鎌倉時代の日本人


昭和の若者
明治の若者
平成の若者
令和の若者


同じ日本人でも
同じ若者でも
それぞれ自由に時代の色に染まっている


法律宗教
様々な鋳型が
様々な虚無を色づけている


自由を求め
制限された空間の中で
予定されていたリズムの中を踊るのだ


その踊りの中から鋳型が再現されて
この鋳型の中の空虚で濃密な空間が
次の時代へと引き継がれてゆくのだろう


河岸の堤を整備して
川の流れを保つように
自由な流れに押し流されない
強力な鋳型を
次の時代へと送ってゆくのだ


より強力な鋳型を送れた存在が
再現競争の勝者であり
生存競争を勝ち抜く鋳型である


そして
いつの時代にも
鋳型の中では
使い捨ての豊潤な自由が流れている

×

非ログインユーザーとして返信する