神様は
物語とともにやってくる

偶像崇拝を禁止する神はいるけれど
言葉を禁止する神様を聞いたことがない

神様は言葉が大好きだ

ことに
神様を上げ奉る言葉が大好きだ

そんな言葉が
繰り返されれば繰り返されるほど
神様は優しく偉大になってゆく

言葉が生まれる前の神様は
どんな神様だったのだろう

言葉が亡くなった後の神様は
どんな神様になるだろう

亡き人を惜しみ
亡き人を語り合うときに
亡き人はよみがえる

心の中によみがえる

三葉虫やアンモナイトが
化石となり保存され
現在
様々な表現で再現されている

神様
亡き友
古代の生き物

なぜ魅せられて語り合うのかわからぬままに
その語らいの中で
その存在を確かめあう

言葉は
言葉の意味を確かめ合うために
語り合うものであるのだろう

語り合わなくなった言葉は
その存在を消してゆく
その言葉の意味を道連れに
その存在を消してゆく

命は
そして
細胞たちは
その内側で
言葉を交わしあっているのだろう

聞こえずとも
そして
私の意識に届かずとも
言葉を交わしあっているのだろう

語り合うにふさわしい厳選されてきた言葉たちを
語り合い伝え合っているのだろう

言葉は夢に似ている

夢を追いかけ
言葉はどこへと向かうのだろう

年老いて描く
過去の栄光なのか
子供のころに描いた
まだ見ぬ世界か

言葉が沸き上がり
誰かが言葉を追いかける
そして
言葉が再現されてゆく