ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

再現競争:「毎日」のために


年老いてくると
少年時代の自由な夢は遠くなる


どうして?
なんで?
どうして?


何もかもが
なぜそうなるのか
なぜそうしなければならないのか
さっぱりわからなかった幼少時代
私は
昼間
お星さまがどこへ行ってしまうのか
不思議でたまらなかった


現実をやり過ごすための知識を蓄え
不思議なことを不思議と感じる感性を
鈍らせて
まあるく収める努力を重ねてきた


この努力の甲斐あってか
少年時代のような自由を失い
夢もどんどん現実的になってきた


自由を捨て
現実に広がっている毎日を
再現することに懸命に努力するようになってきた


コツコツと再現される毎日にとって
少年時代の自由な夢は破壊的だ


幼少時代の不思議がる精神も
邪魔な存在だ


毎日を再現するためには
余計なことをしてはいられない


突飛な夢を持つことも
既存のルールに疑いを持つことも
無駄な話だ


毎日を維持している決め事に忠実な精神を育てることこそが
毎日を維持するために必要で十分なことである


皆が「毎日」を維持すれば
この「毎日」を私も享受できるのだ


何も心配することはない
突拍子もないことが起こらぬように
皆が「毎日」を維持しているのだ


たまに災害があることもあるが
皆が「毎日」を回復できるように努力を重ねれば
小さな傷で済む


こうして維持されている「毎日」のために
私も「毎日」を信仰し
「明日もいい一日になりますように」と祈りをささげる


いやなこともたくさんあったけれど
今日もまたいい一日でしたと
疑いもせずに頭の中で繰り返す


「はたして
 本当にこれでよいのだろうか?」


時に
幼少時代の自分や
少年時代の自分が
私に対して
無言のまま
きらめく瞳で
問いかけてくる


「はたして
 本当にこれでよかったのか?
 後悔はないのか?」


年老いた私が呼応する


まあ
後悔しても
わずかな時間だ


たとえ子供のように戻ってしまっても
後悔することは少なかろう

×

非ログインユーザーとして返信する