オタマジャクシはカエル子である

この事実は
童謡として歌い継がれているからではなく
オタマジャクシの中に備わった
遺伝子とそれに基づく変態過程による

同じように
醜いアヒルの子が白鳥になるのも
童話として
語られ続けているからではなく
遺伝子とそれに基づく成長過程による

言葉には現実を変える力があるが
その影響力を発揮できる範囲は限られている

日本語を話す私にも日本語の影響力は限定的だ

つまずいて転んで
手を擦りむいて出血したとする

そこで
「血よ、止まれ」と命令しても
意に返さず
傷口から血は流れ続ける

言葉が意味に代わり
その意味が実践に代わる過程には
様々な反応が関与している

このような反応がそろって
現象が循環し
有用性を発揮する

反応という現象が連鎖し
循環することで
言語が意味を成し
この循環の範囲内で
言葉が影響力を発揮している

オタマジャクシや
醜いアヒルの子は
この循環の範囲外に存在している現象だ

それでも
言葉をかけ応援したくなる

早くカエルになれますように

辛くても頑張れば
美しい白鳥になれますよ

言葉などなくても
通じある心があるのかもしれない

言葉が通じなくても
それぞれがそれぞれを懸命に演じ
現象を維持する循環の中でもがいている