自分の失敗が記憶となり
その記憶が私を責める

取りに足りないような失敗や
大きな失敗が
次から次へと走馬灯のようによみがえり
眠れぬ夜を演出する

現実には存在しない過去が
記憶として亡霊となるのだろう

現実が
私を責めるのではない
私を責めるのはいつだって
記憶となった現実だ

私の知らない現実や
私が忘れた過去の現実は
決して
私を苦しめない

私の記憶の外にあるからだ

あらゆるものが
私の記憶となってはじめて
私を責める資格を持つ

私はすべてを知るべきだろうか？

私は私を守るために
すべてを私の記憶に置き換えなければならぬだろうか？

生命の歴史は
失敗の歴史でもあり
成功の歴史でもある

その中で
遺伝子は成功を記憶し
失敗を捨て去りながら
進化を続る

私も
都合の良いことは覚えていて
都合の悪いことを忘れている

進化しているのだろう

生きてゆくということは
すべてを引き継ぐことではない

力強さは
捨てることでもあるだろう

現象は
持続するための成功を掬い続け
時間を超えてゆく