ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

現象環境:私ではない私


寝ているとき
夢を見たが
その内容を覚えている時といない時がある


かすかに残っている記憶の中で
景色が移り変わり
手足を動かし
まるで現実の中を動き回るかのように
夢の中で
私が躍動する


子供のころ
空を飛ぶ夢を見た


自宅の屋根に上り
そこから手を広げ飛び降りると
空中を浮くことができた


夢の中でも
屋根から飛び降りることは勇気のいることだった


うまく浮くことができる時もあれば
落ちてしまう時もあった


空を飛ぶことをテーマに
毎晩同じような夢を見た


「今日はどんな夢を見るのだろう」
毎晩寝るのが楽しみだった


でも
いつしか
空を飛ぶ夢を見れなくなった


夢を描いていたのは
私ではなかったなのだろう


私ではない私が夢を見させてくれていたのだ


そんな私ではない私が空を飛ばなくなったので
私も空を飛ぶ夢を
いつしかあきらめてしまったのだろう


今でも
私ではない私が
私に夢を見させてくれている


空を飛ぶ夢ではないけれど
その夢を私も追いかけてみたりする


夕べ
私は私の携帯電話を放り投げてしまう夢を見た


後悔して拾いに行き
なぜだか
そこに落ちていた鉄製の蒸気機関車の模型を拾い上げ
それを大切に懐にしまった


少しおかしいと思ったのかあたりを見渡すと
土に紛れ汚れ果てたわつぃのセカンドバックが落ちていた


慌ててそれを拾い
「こんなに汚れている
 こまった
 どうしよう」と思案したが
私の肩に
綺麗なセカンドバックがかかっていた


落ちて汚れていたセカンドバックのは
私のものではなかったようだ


私は
私ではないたくさんの私と対峙しながら
今を生きている
そして
現象している


今見ている風景も
私ではない私の一部なのだろう


この空も
車の音も
私ではない私となり
私に対峙している私の環境だ

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