前例を踏襲してゆくと
前例は時代を超えて存続してゆく

繰り返され続け
信頼を得た前例は
伝統となり
次の世代でも実践されることが予定されてゆく

そんな前例踏襲の伝統承継の中で
現状にそぐわないところがあると
小さな修正を重ねてゆくことになる

このような修正により
より大きな信頼が寄せられれば
その修正が
新たな伝統として育ってゆくことになる

予定は
実践可能でなければ
実践されない

子供のころ
夏休みが始まる前に
夏休みの予定表を作らされた

守られたことのない予定表を
毎年毎年作らされた

予定というものは
苦しくつらく
実践しがたい存在であると植え付けられた

予定より自由がいい

夏休みなのだ

予定に縛られているより
自由に遊んだほうがいいに決まっている

夏休みが終わり
学校が始まると
終わっていない宿題の提出が待っている

自由を選んだ私を
恨んでみても仕方がない

先生に怒られ
恥をかきながら
夏休みの宿題のことなど忘れ去られる時機を待つ

それが私の伝統になった

他者からは
信頼されない伝統だが
私には大切な伝統だった

前例を踏襲しながら
予期も悪しきも
時代を超えて存在してゆく

永田町にも
霞が関にも
様々な前例踏襲があるようだ

私の夏休みの宿題のように
忘れ去られる時機を待つ伝統も
きっと根付いていることだろう

やればいいとわかっていても
なかなかできないのも
人間の特質らしい

それをわかり合い
にこやかに許し合うのも
いがみ合うのも
人間の特質として伝承されてゆくのだろう