ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

予定と実践:決壊させてはならない不可侵領域


死が親しくなるにつれ
私は透明になってゆく


血液の赤さを失い
筋肉も
氷の塊のように
青白く変わってゆく


感情の嵐も静まり
意識も透明になってゆく


命は
袋の中に閉じ込められた嵐なのかもしれない


様々な現象が予定されていた軌道で
袋の中でぐるりぐるりと実践され
恒常性が維持されている


一度
この袋が決壊すると
袋の中に納まり機能していた嵐が
袋の中から飛び出し
周囲をかく乱する


夕べ
大きく出血した


その出血に驚いたのか
私は貧血を起こし
その場に立っていることができず
静かにひれ伏した


私は
私の体液を大量に失い
萎みながらも
自らの血の海を必死で泳いでいた


そんな夢を見た


身体と同様に
私は
私の崇高な理想を
私の袋の中で育て上げ
実践しているのだろう


この崇高な袋を
決して破ってはならない


破れたとたん
崇高な理想は逃げ出し
崇高な袋は萎えてゆくのだろう


様々な
思想や科学
哲学や宗教が
それぞれの袋の中で嵐を巻き起こし
それぞれの崇高な高みを目指している


それぞれが
それぞれの袋を決壊させないように注意しながら
激しく
それぞれの現象を
嵐のように激しく循環させている


この循環の中
不可侵の領域があって
それぞれの崇高を維持されている


決壊させてはならない
不可侵の領域だ

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