酵素には
意図された機能がある

こういう化合物を
ああいう化合物に加工する意図だ

それ以外のことには
何の興味も示さず
ただひたすらに
こういう化合物を
ああいう化合物に加工している

こういう化合物に出会わなければ
ただひたすらに
こういう化合物を待ち続ける

だから
こういう化合物を
きちんと供給してくれるシステムの中で
酵素はうまく機能する

酵素が機能を果たすことが幸せならば
こうしたシステムの中に組み込まれてこそ
幸せになれるということになる

出来るということと
したいということと
実際にするということは
それぞれ
関連しながら独立している

出来るけどしたくないことや
したいけど出来ないことが
たくさん意識したりするけれど
出来るからしたいことは
あまり意識もしない

実際にしていることは
出来ることであり
自発的か否かは別として
しようとしたことであり
やってしまいたいとか
したいとか思ったことである

意識は
出来ることから
したいことを選び取り
したいことから実際にすることを選び取り
出来たことの可能性を
どんどん狭めている

意識には
自由をはく奪してゆく機能があるようだ

自由なでたらめでは
システムが成立しない

自由をそぎ落としながら
意識が私を日常へと落とし込んでいる

だから
ときに
その日常を壊してみたくなる

大切な日常を壊してみたくなる

後悔の恐ろしさと闘いながら
その日常を壊してみたくなる

それはきっと
また新しいつまらない
機能と同じ日常を開く
新たな試みになるのだろう

無論
上手くいったらの話である