ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

生命と反応:神の恵と悪魔の所業


離そうにも
どうにも離れない


夏山で
アブに襲われた


一匹二匹なら
手で追い払えばよいのだが
時間と共に増えてきて
何十匹
何百匹のアブに襲われ
その場から
走って逃走した


走ることに疲れても
動くことをやめれば
たちまち
アブがまとわりつく


アブは刺すのではなく
噛みつくのだそうだ
そして
滲んだ血を舐めるという


シカの血を舐めていればよいものを
アブには
シカも人間も変わらないのだろう
むしろ
毛のない人間の方が
血を舐めやすい格好の獲物なのかもしれない


毛のない獣は
アブにとって
神の恵にも思えるのだろう
執拗に追ってくる


離そうにも
どうにも離れない


今度来るときは
殺虫剤を持参しよう


私は
神の恵にはなりたくないのだ


悪魔となり
殺虫剤を振り撒くのだ


アブは血を要求しながら生きている


私は
それを拒みながら生きている


拒み切れなくなったとき
私はアブに食いちぎられ
血だらけになり
死に絶えるのだろう


そして神の恵になる


アブたちのために神の恵として
命を終えるのだ


アブたちは
神の恵に感謝してくれるだろうか?


***


神の恵を貪るものは
きっと
悪魔の所業をなしている


感謝すべし
贖罪すべし

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