ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

思考と実体:芸術と五感の関係について


言語が
視覚や聴覚に依存しているように
芸術もまた
視覚や聴覚に依存している


五感の中で
視覚や聴覚は
遠いところを知覚するための遠感覚といい
味覚や触覚は
ごく近いところを知覚するための近感覚ということがある


臭覚は遠感覚とも近感覚ともいえよう


近感覚は
食べられるものか
そうでないかを分別する機能があり
生きることに直結した機能を発揮している


遠感覚は
生きることというよりは
より良く生きることに結び付いている機能である


だから
視覚や聴覚は
近くではなく
より遠くへ
よりよく生きる夢を運ぶことができるということになる


芸術がもたらす高尚な心持は
この視覚や聴覚による
より遠くへいざなう機能のお陰であろう


時には
このような機能のお陰で
生きることからも離れることも出来るのだろう


生きていながら
今の生を離れる幻想の中に浸ることが出来れば
そこに芸術のひとつの本懐があるに違いない


芸術的な料理には生きているといった
実体的な喜びを感じるのに対して
絵画や音楽への陶酔には
どこかの別世界への陶酔といった
現実離れした幻想的な喜びが忍び込んでいる


ここではないどこかの遠くへ行きたい
そんな気持ちを
ここにいながら満たしてくれている

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