動き回る夢
いつの間にか忘れている夢がある
その化石が
本棚の隅の紙切れの走り書きとなって
表れてくることがある
同じように
死に絶え
絶滅した生物種は
忘れられた夢なのだろう
ただただ懸命に生きようと
夢を見ていたあの頃が
化石となり姿を現す
いつの間にか
忘れていた夢
なぜ諦められたのか
どのように諦められたのか
それすら忘れてしまった夢
時の中で
立ち行かなくなり
自然に終わったに相違ない
懸命に生きていたあの頃が
自然に終わってゆく
今、夢があり
それに夢中になっている
いつの間にか
夢中で
生きている
この夢がしぼむころ
また別の夢を見ることになるのだろう
次々とまた別の夢が生まれてくる
夢が夢を産み
いつしかまた同じ夢を見る
化石となって
動かなくならなくなる前に
必死で夢が動いている