トリプルワールド37
規範とその実践が循環し
規範が実践価値があるものとなると
規範とその実践が循環し
時間を超えて存続してゆく
逆に
その規範に反する実践は
この循環の中で排斥されるので
この循環が
ひとつの秩序ある世界として
機能してゆくことになる
例えば
車の世界では
道路は左側通行が原則であり
交差点で赤信号は停止
青信号は通過ということになっている
この規範に乱れが生じると
事故が起こりやすくなり
事故ばかりになると
世界が成立しているとはみなされず
無秩序な世界ということになってしまう
単細胞生物の細胞内小器官も
壊れかけたものが壊され
新しく生合成されたものに入れ替えられてゆく
壊れていないものが壊され
壊れ代えているものが残ってゆくようでは
この細胞は崩壊し
この小さな世界は消滅することになる
結果として
あるべきようにあり続けるための営みが
有効に展開され
あるべきものが承継されてゆく循環している
言い換えれば
小さな規範とその実践が連鎖して循環し
同じことを繰り返す永久機関が成立している
このような永久機関の典型として
細胞周期を挙げられる
外部から栄養を摂取しながら
DNAを複製し
2セットの遺伝子が完成すると
2つに分裂する
規範に従い
ひたすらに同じことを繰り返す
これが世界が存在する原則だ
ただ
これだけであれば
多細胞生物は現れなかった
多細胞生物は
周辺にも
規範の循環を推し進め進化してきた
循環の中心部がしっかりしていれば
辺縁部の循環は不完全でも存在が維持できる
このような辺縁部での不完全な規範の循環が
多様な細胞を生み出す土壌となり
細胞の多様化が
相補性のある細胞間の関係をはぐくむ土壌となっている