ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

能動的反応:水の流れ


雨だれが
ポツリまたポツリと水たまりに落ちている


水は水と重なり合うことができず
水と水がぶつると
弾け合い
音が生まれる


水から生まれた音は
弾け合うことなく
重なり合い
進む先々で生まれる音を飲み込みながら
拡がってゆく


滝つぼには
にぎやかな音の群れが鳴り響いている


音ばかりではない


弾け合い
ちりじりとなった水の飛沫が
あたりの空気に混じり運ばれてくる


動くということは
一筋縄ではいかない


一粒の水だけが動いているのではないのだから仕方がない


動くには
ぶつかり合い
喧噪を奏でながら進んでゆく覚悟が必要だ


早かれ遅かれ
水は
空に帰り雲となり
再び地上へと降り注ぐ


次に流れるのは
富士の高嶺だろうか
それとも先斗町
はてまた
大アマゾンの源流か


動かさ続けている水に
様々な運命を思い描く


鯨に飲み込まれることもあろう
人間の体内を循環するかもしれない


何処へ流れてゆきたいのか考えれば
水はそこへ流れてゆけるだろうか?


目の前に
一杯の水がある


そのコップの中に入っている
水の一つ一つに様々な思いがあるのかもしれない


そう思い、その思いを汲み取り
私は水を飲まなければ水に申し訳がない気もしてきた


私がこの水を飲まなければ
水は別の運命を流れてゆくことになる


水は何処へ流れてゆきたいこともなく流れ
またそこから流れ去るだけなのだろうけれど
私は動こうと思い動き
水を飲みたいと思い水を飲んでいる


流れつきたい場所があるということは
どういうことだろう


自分の運命を
自分で実現したいと考えるということは
水にはできないことなのだろう


生きているということは
運命という漠然とした目標を持ち動いていることかもしれない


生き抜く運命を受け止め
必死で生き抜こうと動き回る


そうして動いてゆくのだから
どこかにぶつかる


水も動いて何かにぶつかり
それでも動きを止めない


私の目の前のコップの中に水がある


この水を飲むということは
私の運命が水の運命を翻弄するのであり
水の運命が私の運命を翻弄しているではない
などと
のんきに私は思っているのだけれど
もしかしたら
水が私の運命を翻弄する日が来るのかもしれない


水がなくなる日
水浸しになる日


どんな日が来るのかわからない


私も水も動き回る運命のなかにある

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