ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

同一性:キメラ生物に思う葛藤と支配


犬の頭を持つ人間のような姿のアヌビス神が
古代エジプトにおいて
冥界の王として君臨していた


こうした
複数の動物を併せ持ったキメラ生物が
共同幻想の世界に生息している


半人半馬の怪物ケンタウルス
竜や
ペガサスもそんな仲間だ


鬼の角も
仔ヤギの角にどこか似ている


私の頭は
人間の様であり
シカやヤギのような角は生えていない
私の背中も
人間の様であり
鳥のような羽が生えていない
私の足も
人間の様であり
馬のように速く走れる足はついていない


頭の先からつま先まで
人間としての同一性が保持されている


このように
人間としての同一性が保たれているということは
特殊な能力が無くて寂しいことなのでもある

このように普通であることに
私は満足して
ストレスを感じていないから
ありがたい


しかし
そんな普通な私の意識の中も
様々なキメラに覆われている


「こうしなければならない」という
社会の同一性確保の圧力と
「こうしたい」という
私の自己中の考えの間に
同一性が保たれず
社会的で立派な私と粗野で野蛮な私の間で
日々様々な葛藤を戦っている


私の意識は
「立派な私」と「野蛮な私」のキメラである


荒ぶる神と
平和の神が戦う神話も
このような葛藤の中で生まれてきたのだろう


葛藤をしていると
それを鎮め
ひとつの統一ある力で支配してもらいたくなる


現に
生命力は
生命一つ一つの個体に
統一性を与えて支配している力だ


しかし
その統一的な生命力の支配はその個体にしか及ばない


だから
環境は生命力の支配に乱れを与える要因であり続け
生命は
統一の平和を常にかき乱されることになっている


このような同一化を阻む環境を支配すれば
生命にとって
より統一的な平和世界が出現する


このような思いが
個体の間の壁を取り払い
より統一的で統合的存在としてのキメラ生物を
創造してきたのだろう


支配者は異質を同化し一体化させる


強靭な支配者ほどに
より多く
より大きな異質を同化する権能を持っているのだ


さまざまなキメラ生物は
そんな堅強な支配者の創造物として君臨してる


でも
これは夢の中でも支配の物語であった


今や
人間は
科学を発展させ
環境に対して
人間中心主義をもって同一化を推し進める力を
現実のものとして実践し始めた


強靭な支配者が
環境を支配し思い通りに操るのだ


やがて
環境の全てが人間のために存在する世界を創造できれば
人間としての種の絶滅を忌避し
永遠を確保してゆく夢を
実現できることになるのかもしれません

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