ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

同一性:複写は同一性保持と変化をきたす


セテウスの船の逸話があらわすように
部品の交換を重ね
元からあった部品がすべてなくなっても
全体が保全されているということがある


部品を全く同じ複製物と交換しても
全体の同一性が保たれるからだ


むろん
ここでいう同一性は
認識としての同一性の保持であり
厳格な意味では部品交換の前後で
異なる部品を使用しているという意味では
異なる存在となっている


つまり
複製物である部品の交換により
全体は
同一性を保たれる側面と
当初とは異質を取り込む側面の
両面を持ち合わせることになる


同じでありながら変化してゆくということだ


このように
複製には
同じを維持する性質と
同じを維持しきれず変化をきたす性質を
併せ持っている


コピー機のように
正確な複製技術であっても
ごくわずかな差異は生じているし
伝言ゲームのような
精度の悪い複写技術では
同一性を保持しようとしても
保持しきれず複写のたびに変化が生じてゆく


生命の同一性保持のための縦糸は
DNAの複写だ


確かな技術で
複写をするのではなるがそれでも誤りがある
生命が同じでありながら変化してゆく要因だ


もう一つの同一性保持のための横糸は
刺激ー反応系だ


刺激に対して
しかるべき同一性のある反応をしなければ
その複写物は
同一物の部品としての一体化が欠けていることになり
全体を消滅させる危機にさらすことにもなる


同一性保持の横糸縦糸の関係は
複写による同一性保持は
刺激ー反応反応系の維持により認識されている
と表現することもできるのだろう


私の身体も
常に細胞を入れ替えながら身体を維持している


身体は
異物になりながら
同一を保持している主体ということだ


私の入れ替わった身体の一部が
もとの私の身体の部分と
うまく刺激ー反応をしてくれなかったら
私の身体としての主体は
そこから崩壊してゆくことになるのだろう


壊れてゆく細胞たちの替わりに
それとそっくりな細胞たちが活躍していることに
日々感謝しなければならいということになる


「もっと正確なコピーを!
 すれば若さをもっと保てよう」
と叫びたくなるのは
欲張りかもしれないが
至極当然な生命の本質ということなのだろう

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