ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

再現競争:古きを訪ねて新しきを知る


機械は
古くなると故障が出てくるようになる


形あるものは壊れるのだから仕方がない


だから
古くなった部品を
新しいものに入れ替えなくては
システムは維持できない


同じものがたくさん必要だ


同じであるということは
代替が効くといことだ


代わりが効けば
違うものを同じものとして扱える


同一性は
このような現実から判断されている



文字は
複製される


文字が伝える内容も
本が増刷されれば
その分増える


本が増えれば
本が古くなって読めなくなっても
その本の代わりが周りにどんどん増えてゆく


本が伝える意味も
本を読む人が増えれば増えるほどに増えてゆき
どんどん代替できるようになる



ウイルスは壊れやすいけれど
たくさん再生されているので
壊れても
壊れても
まだまだたくさんやってくる


1億生まれ
そのうちの1つが
1億自分を再現すれば
ウイルスは消滅しない


代替が効くということは
責任が軽くなるということでもあるのだろう



私には
私の代わりがいない


だから
その責任の重さに押しつぶされて
気が重くなることもあるのだろう


気が重くなるようならば
代わりが効く部分については
代わってもらえばよいとも思うようになる
けれど
代わりが効くということは
世間的な私の価値を下げることになるのかもしれない
などと思い躊躇したりする


価値が下がれば
相手にされなくなり
助けてもらえなくなるかもしれない
それは好ましくない事態である


世間との付き合いは気が重いことだ


しかし
気が重くなりながらも
価値ある私を再現してゆくことが
社会における私の役割だ


だがそれは
私のための私の役割でもあるのだろう


私は
まだ古くない
まだまだ新しい


根拠があるのかないのか考えぬままに
そう思いながら
私は
古くて新しい私を演じている

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