花の種を土に埋める

この種には
未来が詰まっている

芽を出し
光を受けながら葉を広げ
花を咲かせ
虫たちを誘い
受粉し
たくさんの種を空へとまき散らす
そんな未来が詰まっている

花の種は
虫を誘う意志を隠し持っているかのようだ

私の意志のように
臨機応変で
優柔不断な意志ではなく
こうと決めたら
他の道はない
ダメであっても
実際にダメになるまで押し通す
そんな頑固で実直な意志が
花の種には詰まっているかのようだ

実際に花が虫を誘うのは
こんな風な意志ではなく
花の色や
蜜の香りといった物理的な仕組みであるが
意志がないとしても
このような巧妙な仕組みが
花の種の中に詰まっているということが
意志を超えた奇跡と称賛すべき事態である

種の中にある予定に制御され
花を虫たちを誘うのだ

意志がなくても
事を成し遂げる力が
花の種には宿っているということだ

まあ
意志というものは
このような
事を成し遂げるための力の一つの形ということなのだろう

こうしたい
そう思わせる意志よりも大きな力が
意志を生み出し
事を成し遂げようとしているということだ

私が私の意思に従い
事を成し遂げようとしている時
もっともっと大きな力が働いているということだ

私の意思より大きな大きな力
花が虫を誘う仕組みのような
大きな力が働いているということだ

私を超越した存在が
花や
私の意思を誘導しているに違いない

私という存在の渦の中心にある領域に
私にとっての花の種が埋められていて
そこから
大きな力が
私を
私の意思を振り回しているのだろう

私の外部にもある大きな力と
時に調和し
時に拮抗しながら
私を
私の意思を振り回しているのだろう