ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

局在と遷移:渦の存在論


風呂の中で人差し指を
水面に向け
それを一定方向にぐるぐる回すと
渦ができる


渦は
水の動きであり
物質的には水であるが
ぐるぐる一定方向に回る動きのある水の極地は
渦と呼ばれる


他の部分の水と
同じ水であり
しかも
他の水の部分の水が
渦になり
渦の水が他の部分の水になるといったふうに
水は
渦とその他の部分で行き来している


それでも
渦は渦として存在する


でたらめな動きではなく
一定の動きが渦を特徴づけ
この一定性が低下するに従い
渦の存在性も希薄になる


自由運動ではない
規定された運動が渦の存在を維持している


自由は
規定された運動が
また別の規定された運動へ
変異してゆく過程で現れるうたかたなのだろう


水面は
風が吹けば風に波打ち
雨が降れば雨粒に震える
石が落ちれば波紋が広がる


重力がなくなれば
空気と水は交じり合い
水面は消え失せよう


無重力の中
水と空気が自由に行き来するのだ


自由が様々に規制され
その規制の在り様により
様々な局在が維持されている


赤は青と表現されてはならない


血は血管の中にとどまるなければならない


自由が様々に規制されながら
それぞれの局在が維持されている


自由は
渦が消えゆくことである


水と空気が混じり境がなくなることでもある


そう
存在が消えてゆくことである


そしてまた
吹き荒み
荒れ狂う台風が
消えてゆくことでもある

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