うまいワインは
様々な反応の総和として維持されている

ブドウ畑でも数々の反応
ワイナリーでの数々の反応
試飲する人々の反応
購入者の反応

ワインの本質は
これらのどこかに局在しているのではなく
これらの総和として局在してる

この総和としての局在を維持するために
ブドウ畑で
ワイナリーで
人々の評価の場で
一定の反応が繰り広げられるよう
努力が注入されている

それぞれの反応の特異性が
そのワインのうまさを維持しているのだ

この特異性に自由が入り込み
あやふやな反応が起こり始めると
そのワインのうまさも曖昧なものとなる

この曖昧さの中で
新しいうまさが生まれてくるのだろう

この新しいうまさが局在し始めると
うまさを構成している様々な反応は
その新しさに向かい遷移を始める

うまさという局在を総和している数々の反応は
特異的であるけれど
それぞれに自由度をもち遷移している

反応の連鎖の循環が
幾重にも同時進行しながら
自由度の幅の中を循環している

この幾重にも重なる循環が
分離し始めると
新しいうまさの局在の循環が
既存のうまさの局在とは別の存在として
別の運命の遷移を描き始める