人間は
火を使えるようになった

おかげで
お肉をおいしく食べれるし
温かいスープも飲める
寒い場所でも
暖かく過ごせるようになった

人間は
動物を使えるようになった

おかげで
馬に乗り早く移動できるようになった
牛や馬に土地を耕してもらえるようになった

このような便利さは
機械によるところが大きくなってきた
人間は
科学技術を使えるようになったからだ

動物より
機械の方が性能が良い
馬力も大きく
操作性も良い

＊

人間は
人間を使えるようになった

おかげで
互いに協力して
それぞれが役割を持つ集団を作り
人間より体格の良い人間のような原人から
なわばりを奪い取り繁栄できた

人間は
人間を使えるようになった

おかげで
収穫と労働を分離させて
余力を生み出し
地位や名誉を創れるようになった
やがて
この余力が科学技術を発達させて
機械を作れるようになった

人間より
機械の方が性能が良い

馬力も大きく
操作性も良い

おまけに
記憶力も大きく
処理速度も速い

機械が発達し
労務を担う家畜は姿を消した

便利な動物より
好みに合う動物ばかりを繁殖される

人間の好みに合う人間
機械の好みに合う人間

人間は
選ぶことを欲する性向がある
同時に
選ばれたい性向を有している

選ばれる意義を
察知する能力があるからだろう

喜びも悲しみも
ここから始まる

利便性を察知する能力が
人間社会をより便利なものへと導いている
動物らしさよりも
人間らしさを助長している
ただ生きるのではない
便利に生きるのだ

それがパンのみに生きるにあらずの
ひとつの意味なのだろう

自然な人間
人工的な人間

いろいろな人間がいる

いろいろな人間になることができる
自分の意志で
あるいは
誰かの意志で