風立ちぬ
風も生きているのだろう
無風になるまでのひと時を
生きて 生きて 生き延びる風
風が 風を呼ぶと
風は そのひと時を伸ばし伸ばし
生き延びてゆく
風が 風を呼ぶ力が強まれば
風は 力強く生き延び
風が 風を呼ぶ力が弱まれば
風は 衰退し
やがて息絶える
命が 命を呼ぶ反応を
連鎖させてゆく力を
命が乞う
そして
その力を蓄え
発揮しながら
命は局在を保つ
太陽の周りをまわり続けることで
地球が生きてゆくように
命は
反応を回し続ける
風立ちぬ
風は 生まれ
ひと時を生き延び
やがて死んでゆく
このひと時を
風は 永遠のように生きているのだろう
地上に 生命が生まれ
それが死に絶えるまでの一瞬を
永遠であるかのように
地上に 命の華が咲く