ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

局在と遷移:一瞬を永続させる力を請う命たち


風立ちぬ


風も生きているのだろう


無風になるまでのひと時を
生きて 生きて 生き延びる風


風が 風を呼ぶと
風は そのひと時を伸ばし伸ばし
生き延びてゆく


風が 風を呼ぶ力が強まれば
風は 力強く生き延び
風が 風を呼ぶ力が弱まれば
風は 衰退し
やがて息絶える


命が 命を呼ぶ反応を
連鎖させてゆく力を
命が乞う


そして
その力を蓄え
発揮しながら
命は局在を保つ


太陽の周りをまわり続けることで
地球が生きてゆくように
命は
反応を回し続ける


風立ちぬ


風は 生まれ
ひと時を生き延び
やがて死んでゆく


このひと時を
風は 永遠のように生きているのだろう


地上に 生命が生まれ
それが死に絶えるまでの一瞬を
永遠であるかのように
地上に 命の華が咲く

局在と遷移:生きてゆくための習慣が育てる区別


生き物を殺すということは
罪深いこと


しかし
生き物を食べなければ
生きてはゆけないのが生き物


この葛藤を
習慣が鎮めてくれている


殺されてもよい生き物と
殺されてはいけない生き物が
習慣として形成され
殺されてもよい生き物を殺すことは
罪深くはなく
殺されてはいけない生き物を殺すことは
罪深いことにされてゆく


いじめてもよい人と
いじめてはいけない人も
同じように
習慣として形成されてくる


習慣は人間の反応の慣性だ


反応の定式化である


定式化することで
予想可能性が高まり
それに調和するように他の反応も定式化してゆく


殺してもよい生き物を殺すことは
罪深くないという反応は
こうした調和の産物であり
この殺しても罪深くないという反応が
殺すという反応を後押しする


こうした好循環が共進化の関係をもたらし
より洗練された
罪深さと殺生の関係が進化してきた


犬を食べるということは
鯨を食べるということは
牛や豚を食べるということは
こうして正当化されて来た


正義は反応の賜物である


反応そのものには
正義も悪もない


反応してしまうものだ


それに白黒をつけるところに
正義は生まれれる


調和に向け
白黒をつける


秩序が異なれば
異なる調和があり
異なる白黒が形成されて来た


クマノミとイソギンチャクの秩序も
殺されてよい生き物と
殺されてはいけない生き物を区別することから
生まれてきたのだろう


クマノミにも
イソギンチャクにも
正義があるのである

局在と遷移:客体の刺激性の遷移


ドラマやマンがは
見始めると
見ないではいられないほど夢中になったりする


しかし
見ないとなると
全くもって見ないでいられる


あんなに夢中になっていたのに
いつの間にか
全くもって興味が湧かなくなるから
不思議なものである


ドラマやマンがは
反応を誘導するように作られた客体であり
視聴者は反応を誘導された主体である


客体の刺激性が
主体により異なるので
見始めると見ずにはいられなくなったり
見なくなれば全く興味の対象外になったりする


神様や仏様も
客体であり
その刺激性は
反応の主体により異なる


いくら素晴らしい神様や仏様の言葉であっても
客体である以上
その刺激性は主体により異なる


名言も
心にしみるときもあれば
何の刺激も与えない時もある


同じ小説でも
読む年齢に応じて
経て来た経験に応じて
読み取ることが異なったものになってゆく


見るという反応
聞くという反応
感じるという反応


様々な反応が
次の反応に影響を与えてゆく


面白いと思えば
次から次へと刺激を求め
次から次へと反応を繰り返し
反応が盛んになり
より大きな局在へと成長し
つまらないと思うと
こうした反応の隆盛は衰え
無に還る


身体機能は反応の隆盛の中で成立している


反応が反応を呼び
反応が隆盛を極め続けているゆえに
生きている


どの様な命にも
刺激性の高い客体を
その内部の奥底に隠し持っているようだ