ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

脱中心化:魔法陣の世界への脱中心化


鏡には魔力があるらしい


肉体である私を中心に据えると
鏡に映った私は偽物だ


しかし
いつの間にか
そんな偽物を
本物の私として眺めてしまう


こうして眺めている間
私の中心は鏡の中の私に移行する



もっともっと若々しいはずだと思っている私が
鏡の中ですっかり猫背になった私を眺めて
「えっ!こんなに老けたんだ」と驚いたりすることがある


私の意識の中にある私と
鏡の中にある私は
どちらが本物なのだろう?


意識の中の私は
肉体の私から
切り離されているのだろうか?


鏡の中の私よりも
肉体の私より遠いところにあるのだろうか?


肉体の私
鏡の中の私
意識の中の私
3人の私が
互いに円環的に
見つめ合い
予定調和を模索し合っている



言葉にも魔力があるらしい


人様が言葉で描いた私は
鏡に映った私の姿によく似ている


「そうか。私はそう見えるのか」と
私を描いた誰かの言葉をかみしめる



言葉で描かれた私は
偽物の私だけれど
本物の私よりも存在感がある時がある


私の中心が
私の中心から離れて
言葉の中へと落ち込んでゆく



人には
魔力に踊らされる才能があるようだ


鏡の中の私や
言葉の中の私が
本物の私に魔法をかけて
私を踊らせる


楽しい踊り
悲しい踊り
うれしい踊り
様々な踊りを
魔法陣の中で踊り続け
疲れ果て
やがて眠りにつくのだろう


そして
夢の中でもまた
様々な魔法陣の花が咲き乱れ
「ああ、夢で良かった」
「ああ、夢だったのか」などとつぶやきながら眠りから覚めたりする
そして
本物の私に戻ったかのように感じながら
気が向けば
鏡に映った私に
「おはよう。また会えましたね」と
他人行儀に挨拶を交わしてみたりする

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