ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

多元論:記憶の生存競争


記憶を鮮明に蘇らせるということは
新しい生命を誕生させるような繊細な手続きだ


特定の偏在が次の特定な偏在を次々と誘導してゆく
生命の発生現象のように
細く切れそうな記憶の糸を何本も操作しながら
少しづつ記憶を鮮明にしてゆくのであるが
現実から入ってくる感覚や
余計な記憶が
その手続きの邪魔をする


この邪魔を乗り越えて
記憶は生き残る


生命と同様に
記憶も現実との競争に打ち勝ちながら
生存しているということだ


だから
大切な記憶は
現実に汚されないように
心の奥底にそっとしまっておいたりする


そっとしまっておかない記憶は
現実が提供する新たな記憶の波に押しやられ
どこかへ流れて消えてゆく


コンピュータプログラムのサブルーチンのように
便利な記憶はよく使われ整理され保持されてゆくけれど
便利でない記憶は使われぬまま時間とともに消失してしまう


記憶は知の本質であり
哲学の核心だ


記憶されない現実は
知として存在せず
語り得ぬことができぬままに
過去へと過ぎ去っている


いつの日か
そんな現実も掬い上げられ
記憶として知の殿堂に祀られて
語られるようになるのだろう

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