他人に対する行為を
4つにわけることができる

一つ目は利己的な行為だ
生命である限り
自らを保存しなければならない宿命にあり
自己保存に必要な行為を繰り返さなければ
命を存続できないから
利己的な行為は重要だ

二つ目は利他的な行為だ
個々の生命は
それが属する環境システムの一部である以上
このシステムの一部として
利他性を発揮しないと
このシステムから排斥されやすいので
利他的行動を強いられている

三つめは他害的な行為だ
環境システムの中で
競合関係にある他者を排斥すると
利己的な要求を満たしやすい環境を作ることができる
このことが
他害的行為が進化させる有利性を提供している

四つ目は自害的な行為だ
環境システムの存続にとって
自分が足かせになる状況がある
自分よりも
環境システムの存続を選ぶような戦略も
進化の過程で発展しうる
例えば
プルグラムドセルデス
（予定された細胞死）は有名だ
手の発生過程で
指と指の間の細胞が自らの命を絶つことで
指がそれぞれ独立した形態としてあらわれてくる
細胞内小器官の自己融解も
細胞システムを維持するための
部品の自己融解だ
大義のために身を投じるのも
自害的行為の一つだ

それぞれ
進化の過程で
その有利性が評価された結果発達してきた

しかし
その有利性と必ずしもリンクせずに
それぞれの行為が繰り返される

行為が
潜在として存在しており
そのきっかけがあれば
有利性があろうとなかろうと顕在化してしまうからだ

このきっかけが有利性と結びついてはいるのだろうが
学習途上のAIのように
有利性のとの結びつきが脆弱なこともある

この脆弱性を
知性や悟性で補おうと
様々な努力が重ねられ
コンピューターの助けも借りるようになってきた

この努力の集積により
人間社会としてのシステムが機能している

このシステムの存続とも
自己の保存を天秤にかけながら
様々な行動を
個人として選択し続ける

その結果として
社会システムは私のために機能するとともに
私は社会システムのために機能するようになる
時に
社会システムが私を害し
私が社会システムを害しながらも
社会システムは私のために機能して
私は社会システムのために機能しているから
社会も私も
共循環の中で
心臓が鼓動し
目が光を追うのと同じように
今、存続できている