ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

現象と構造:温故知新を導く現象


Bという現象が起こる原因に
A1、A2、A3の3つが想定され
かつ
Bが観察されている場合
直近の過去に
A1、A2、A3のいずれかの現象が起こっていた
このような思考がなされる


親しい人が悲しんでいると
「どうしたの?」と声をかけるのも
同じように
悲しむ原因を過去にさかのぼり追求しようとする試みだ


「死んじゃったの」と悲しんでいる人が答えると
「えええ!何が死んじゃったの?」と
原因をより詳細に追求しようとする


「犬が」と悲しんでいる人が答えると
「飼っていた犬なの?」と
さらに詳細に追求する


「うん」と悲しんでいる人が答えると
「何歳だったの?」
「どうして死んじゃったの?」と
根掘り葉掘り聞いてゆく


人間には
過去に起こったことを推測してゆく能力がある


原因分析能力だ


探偵小説や警察のドラマでは
おなじみな能力だ


過去と現在をつなぎ合わせる現象の連鎖を
過去に向かって帰納しながら連ねてゆく能力だ


過ぎ去った現象を
その現象が現在に残す証言や物証といった痕跡を頼りに
思考の中で再現するのだ


証言は
記憶が言語となったもので
その言語を聴く者は
その言葉から
証言者が持っているであろう記憶を再現する


言葉から
どんな犬がいつどのように死んでしまったのかを
推測するように
証言から
記憶を形成した原因となる現象を推測するのだ


一つの言葉は万能ではないので
いくつもの質問がなされ
いくつもの回答がなされ
しだいに
過去に起こった現象が特定されていく


それとともに
過去に起こった現象と
それに伴う感情の変化の関係が
白日の下にさらされながら
探偵小説や
警察のドラマは進行する


それを見ながら
小説やドラマの中で
いまだ明らかになっていない真犯人を
読者や閲覧者は先んじて
特定しようと
今明らかになっている事実から
真犯人を帰納的に推論することを楽しむ


人間には
結果から原因を帰納しながら
過去に遡ろうとする志向性がある


この志向性により
この能力を
さらに増幅してきたのだろう


言語を操るということは
言葉から
記憶を帰納する能力が必要だ


過去を探ることで
思考能力も
言語能力も高まるのだ


そして
その能力が
未来を切り開く


現在から過去への帰納により創造された
因果律の構造が
現在から未来への予想のために応用されるのだ


この創造された構造の中で
未来のあるべき結果から
今なされるべき原因を帰納するのだ

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