ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

局在と遷移:痛みの塊を維持するということ


同じ秩序が
何処までも広がっているわけではない


ある秩序と別の秩序の間には
境界があり
それぞれの秩序は
それぞれの局在を為している


境界は
明確な線を描くこともあれば
ぼんやりとした線を描くこともある
入り交じり
重なり合った境界が広々と広がっていることもある


時間的なものであることも
空間的なものであることもあり
両者が織りなしていることもある


内視鏡手術で
直腸にできた腫瘍を切除してもらった


鎮痛剤で
幾分痛みを和らげてもらったが
電気メスの当たり所に激しい痛みが走った


その痛みが次第に蓄積するのか
骨盤の中に
大きな痛みの塊ができた


それでもなお
ノミでたたくかのように
電気メスがその塊を刺激し続けた


塊の中で
刺激がしみ込み
塊をより頑丈により大きくしているようだ


痛い処は痛く
痛くない処は痛くない


私の骨盤の中で
痛みの境界が現れた


痛みの塊は
電気メスの刺激が少なくなれば
縮小し
刺激が多くなると
再び拡張した


電気メスに対する私の反応が
痛みの塊を創っているらしい


私の中の痛みの局在


手術が無事終わり
その痛みはもうない


記憶だけになった


命が局在するということは
そういうことなのだろう


反応し続け
やがて記憶だけが残される


命は
自ら刺激をし
自らが反応し
自らの局在を存続させ続けている


在ろうとしなければならない
そして反応し続けなければならない


道端の草も
在ろうとし
痛みの塊のように
そこにあるのだろう

×

非ログインユーザーとして返信する