ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

思考と実体:思考世界と実体世界


思考世界には
二種類の時間があるのに
実体世界には
一種類の時間しかない


思考世界には
思考している時間軸と
思考の対象の時間軸がある


思考時間は
過去から未来へと
実体世界と同じように進行している


思考対象時間は
実体世界の時間とは逆に
今から過去の方向へと進むこともできるし
時間を止めることもできる
もちろん
実体世界と同じように
過去から未来へと時間を進めることもできる


この時間の可塑性により
思考対象世界においては
切り刻まれたリンゴも
元の通りのリンゴとして存在することもでき
亡くなった知人も
生きている当時の知人として存在できる


このような可塑性のゆえに
思考対象世界の存在は
産まれては消え
消えたはまた現れる
泡沫的ものとして存在することになる


この思考の泡沫性のためなのだろう
思考対象世界の存在を
時間の可塑性のない実体世界に残しておきたくなる


忘れないように
思考したことをメモを残したりするのがその例である


文学や彫刻や絵画も
ビルも機械も哲学も
思考世界の泡沫を実体世界に残してきた成果である


私も
大宇宙の片隅で
私の思考世界の痕跡を残そうと
実体世界にかすかな爪痕を刻み続ける

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