ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

局在と遷移:重層する局在たち


言葉は
その言葉を使う人々を包み込むが
その言葉を使わない人々を包むことはない


言葉は局在している


その言葉を使う人々を触媒として
言葉は意味と表現の間を行き交いながら
局在を維持している


風が吹き続け台風が維持されるように
泳ぎ続けマグロが生きているように
言葉は
意味と表現の間を行き交いながら
その局在を維持している


意味と表現の間を行き来することをやめると
その往来の道は原野に戻るかのように
道がなくなる


意味と表現の間にある道は
使えば使うほどに整備されるけれど
使わなくなれば荒れ果て
やがて
道などなかったかのように
何もなくなる


人と人の間の交流も
趣味や
仕事といった何かに触媒され
交流の道筋が形成され
交流が盛んになるほどに
その道筋は整備されるが
廃れ始めると
交流も道筋も消えてゆく


細胞と細胞の間にも
そんな道筋がたくさんたくさんあるのだろう


そんな交流から切り離された指先は
壊死して消滅してゆく


何もなかったように
土にかえる


つながりの中で
生きている


伸びすぎた
爪や髪の毛を切る


痛みもなく
つながりを切る


やがて私も
痛みもなく切り取られる日が来るのかもしれない


痛みが触媒となり
交流している道筋が
重層しながら局在している


道筋が荒廃するに従い
痛みも感じぬようになるのだろう


何もなくなるのだ


そこに戻らぬように
痛みがやってくる


生きている証の一つがやってくる

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