局在と遷移:多中心世界の局在たち
言葉がなくても
花は咲き
日は昇り
夕焼けは赤々と空を染める
けれど
言葉があれば
花を思い出し
日差しを思い
夕焼けの景色を思い出させてくれる
言葉を共有すれば
同じ風景や
同じ音
同じ匂いを思い出すことが出来る
人類は
言葉を介在として
同じ思いを熟成してきた
今
スマホが介在し
同じ思いを熟成するようになってきた
さて
言葉に向かおうか
スマホに向かおうか
それとも
あるがままの自然に向かおうか
それぞれに素晴らしさを感じながら
それぞれに物足りなさを感じながら
様々なものに向かい合いながら
日々が過ぎ去る
向かい合っているものと
向かい合っていないものが
それぞれの時間に
個性を与えてくれている
無いものねだり
今に埋没できないようにできているらしい
そうして
私の周りが私を中心にぐるぐる回る
私という局在の周りを
様々な局在が通り過ぎながら
わたしという局在は遷移を繰り返す